激変する医療改革の中、今こそ戦略的な病院づくりを! その2

 折りしも2005年12月1日「医療改革大綱」が発表された。今後の我国の医療制度の根幹をなすべき改革案である。内容をチェックするに、なるほどと考えさせられることが多い。主として国家財政上の観点から(この点財務省主導型)医療制度の在り方を提議している訳である。ポイントの一つは、運営上の利便性をアピールしつつ、実は財政基盤を国から都道府県、市町村へ移行する思惑は明白である。新設される(2008年度) 高齢者医療保険制度は、その典型と言える。将に介護保険導入のパターン。情報開示、領収書の明細発行等、患者との信頼関係確立を全面に出し、患者負担の重荷から目をそらしめた手法(ただし、これは正論)電子カルテ導入を施設規模別に導入年次を明確にした事は国としての強い姿勢を示したものであろう。これにより国サイドは情報を正しく、全面的に把握し、不正請求、過剰請求の防止に努め、医療費の抑制の一助と為す考えは理解できる。丁寧にも実施のための監視手段をも導入、また早期導入には加算処置をつけるという念の入れ方。単にペーパーレフィレという事より、情報を正確に把握し、今後の対策資料として利する国の狙いは明白である。(これも正解)どうこうするうち、2006年4月実施予定の診療報酬改定(案)が決定され、発表された。参考として小泉内閣発足以降の診療報酬改定の推移をみてみたい。

2000年度
0.2%増
本 体
1.9%増
薬価、医療材料
1.7%減
2002年度
2.7%減
本 体 1.3%減(初めて)
薬価 等 1.4%減
2004年度 1.0%減
本 体 据置き
薬価 等 1.0%減
介護保険 05・10・1居住費食費自己負担化
2006年度
3.16%減
本 体
(12/18決定) 1.36%減
薬価 等
(12/16決定) 1.80%減

(12/18決定) 2.40%減

 小泉内閣発足時の診療報酬改定の折、小泉首相は、こう発言した。「三位一体にて痛み分け」。三者とは国・医療機関・患者を指す訳だが、その後にも実に見事に実行していること、誠に見事としか言い様がない。タイミング上、今回(No2)は情報としての医療改革と診療報酬をテーマにした事を取り上げざるを得ない事ご了承願いたい。現状の小泉内閣は多数政党をバックにした強力内閣である。「厚労族」という族議員、弱体化した日本医師会を歯牙にもかけず、政策決定となる事は自明であり、大きな影響を医療機関にもたらすことであろう。次稿(その3)にて、前回診療報酬引き下げ時、いかに対策したか、健斗した医療機関の事例を紹介する。又、今回の診療報酬減収を前提とした経営計画を立ち上げつつある医療機関も紹介したい。いずれにせよ基本は「全員参加、全員労働、全員経営」のモットーであり、「FOR THE FLAG」として掲げる旗印(目標)の下に一丸となって対策を実施する体質づくりのスタートである。これこそ医療機関として「悪さ・弱み」を「強み・良さ」に転化してゆくアグレッシブな事業体質づくりである。

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