激変する医療改革の中、今こそ戦略的な病院づくりを! その7

 『業務分掌』の目標とするものを引き続き探求する。

 根本的に医療機関の職員たる者が担当する業務は『経験則』がベースである。その上、資格者による資格業務が主体である事から、閉鎖的であり、業務実施に交流が少ない。それ故に良く言って『スペシャリスト』、悪く言えば『専門馬鹿』になりかねない業務の世界ではある。仕事の流れの中では、以上の決して良くない特性に対して改善・改革の動きがあまり見えない。民間における一般企業の効率化、合理化、生産性チェックは常時実施され、より良い結果を求め、厳しい労働環境の中で切磋琢磨しているのが実態。むしろ ごくごく当たり前の事。将に「競争社会」の中の公私共々生き残り作戦、これ以外何物も無い! さて、本題に戻り、我が医療機関における「業務分掌」の結果効果は如何なものか前回にて作業と分析を試みた。そこにおける事例を更にチェックしてみる。

  1. 自らの担当業務を分掌、分析してA,B,C分類の結果、担当分野は明確に「専門分野」ではあるが、職制上の業務区分の業際が誠にあいまいであり、それ故に権限区分、決議区分、つまり上下の関係、言い変えれば職務上の力関係が不明確である事を指摘せざるを得ない。故に民間企業における上司、部下の明確な力関係とは違う経験度(キャリア)、技術度(スキル)、自己実現度(アピール)等々にてお互いの立場、関係が確認され、明らかにある訳でありそれ故、情緒的な上下関係であると言われる所以である。故に医療機関職員は単一存在と云うより、「族」であり「グループ」を好む傾向がある。
  2. それ故に平成7年(1995年)『厚生白書』にて①医療機関は「サービス業」であり、患者は「消費者」である事、そして医療界は「競争社会」と定義されたにも関わらず、基本的に院内においては「病:病連携」 「病:診連携」「地域の中の連携」等々、力を合わせて業務を実施する事がなかなか不得手であり、むしろ行政サイドからのアオリに対し、消極的とさえ言える対応の実態は、今もって原始産業的な個人企業的性格が抜け切れていない事が露呈されたと言えないだろうか。
  3. 以上の歴史的、業務的、分野的特性から一歩抜き出て組織的、技能的能力を有するレベルに到達した医療機関はつまり「勝ち組」と分類され、旧態依然たる組織体は、やはり「負け組」とランキングされるのであろうと推察する。


 次回にて更に当課題に関し、深耕し、元気の出る戦略的な病院づくりを試行する。

 健斗を祈る

 強い病院づくりを楽しもう